Column
2026.02.06
求人募集は何から始めるべきか。 多くの企業が真っ先に思い浮かべるのは「どの求人広告を使うか」ではないでしょうか。 人手不足が続く中、採用を急ぐ状況では、まずは求人媒体に掲載し、応募を集めるという判断に傾きやすくなります。掲載の手続きも簡単になり、予算さえあればすぐに動ける。だからこそ「とりあえず課金して様子を見る」という選択は、決して珍しいものではありません。 しかし、採用支援の現場では、その結果として「採用コストだけが膨らんだ」という声を多く耳にします。さらに「応募は来たがミスマッチが続いた」「結局また採り直しになった」という悩みも少なくありません。株式会社ヴォーチェは、こうした失敗の背景に共通した“始め方のズレ”があると考えています。

採用が必要になる場面は、多くの場合、組織に余裕のある状態ではありません。欠員が出たり業務量が増えたりすると、現場からは「一刻も早く人を入れてほしい」という声が上がります。その切迫感の中で採用を進めると、どうしてもスピードが優先されます。その結果、「誰を採るのか」「なぜ今採るのか」といった根本的な整理が後回しになりがちです。
結果として、求人募集が目的ではなく“作業”になってしまいます。そのため、求人票には当たり障りのない言葉が並びます。仕事内容は書かれているものの、その仕事が組織の中でどんな意味を持つのかが伝わりません。つまり、応募者にとって判断材料が極端に少なくなります。
したがって、条件だけで応募するケースが増えやすくなります。条件でつながった採用は、入社後に価値観のズレが表面化しやすいです。その結果として、深刻なミスマッチにつながります。求人媒体は強力な「増幅装置」ですが、設計不足のまま使えば、その曖昧さを広く拡散させてしまうリスクも孕んでいるのです。
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求人募集がうまくいかない企業の多くに共通しているのは、「どんな人を採りたいのか」が社内で言語化されていない状態です。職種や経験年数は決まっていても、どんな場面で力を発揮してほしいのかが整理されていません。また、どんな価値観を大切にしている人が合うのかまで整理されていないケースもあります。
すると求人票の表現も抽象的になり、応募者との解釈のズレが生まれます。たとえば「主体性のある人」という言葉一つを取っても、イメージは大きく異なります。このズレを放置したまま採用を進めると、入社後に「思っていた仕事と違う」といった違和感が積み重なります。なぜなら、事前の期待値調整が機能していないからです。
また、経営層と現場の間にある認識のズレも見逃せません。経営は将来を見据えた人材を求め、現場は「今すぐ動ける人材」を求める。このズレを整理しないまま求人を出すと、要望が盛り込まれすぎてしまい、結果として「誰にも刺さらない求人」になってしまいます。

応募が集まらないと、多くの企業は「露出が足りないのではないか」と考えます。確かに露出を増やせば応募数は増えるかもしれません。しかし、求職者は求人を見たうえで「応募しない」という判断をしています。その背景には、「自分に合わなそう」「期待値が分からない」といった理由が潜んでいることも少なくありません。
こうした状態で露出だけを増やしても、採用コストは増える一方です。大切なのは応募数そのものではなく、企業と相性の良い人からの応募が増える状態をつくることです。そのためには、広告手法を考える前に「情報の整理」が不可欠です。
さらに、採用コストの無駄は広告費だけではありません。面接対応や教育、引き継ぎなど、採用には多くの時間と労力がかかります。ここでミスマッチが起きると、その負担はすべてやり直しになります。この繰り返しを避けるためには、最初に正しい設計を行うことが、結果として最大のコスト削減につながります。

求人募集は単なる人集めではありません。企業がどんな価値を大切にし、どんな未来を描いているのかを伝えるコミュニケーションです。仕事内容の魅力だけでなく、大変な部分や期待している役割も含めて伝えることで、応募者は自分に合うかどうかを判断しやすくなります。正直で具体的な情報は、結果として定着率を高め、ミスマッチを防ぎます。
また、今の採用市場では企業も選ばれる立場にあります。待遇や条件だけでなく、仕事の意味を一貫したストーリーとして伝えることが重要です。それが、納得感のある応募につながります。求人を出す前にそのストーリーを整理することが、ミスマッチ防止の実務的な第一歩となります。この工程を丁寧に行うことで、採用後の離職リスクを大幅に下げることが可能になります。
\ 採用の課題を解決した成功パターン /

株式会社ヴォーチェが支援の現場で重視しているのは、求人をいきなり出すことではなく、その求人を一度“診察”することです。応募が集まらない、定着しないといった結果だけを見るのではありません。その求人がどんな状態にあるのか、どこに無理があるのかを丁寧に見ていきます。この考え方を私たちは「採用ドクター」という言葉に込めています。
採用がうまくいかない背景には、人物像の整理不足や社内認識のズレなど、複数の要因が重なっています。求人を診察する視点に立つことで、こうした要因が見え、場当たり的な対策ではなく本質的な改善につなげることができます。まず「整理する」という姿勢を持つことで、採用は企業の負担ではなく、成長を支える仕組みへと変わっていきます。診断し、設計し、改善するサイクルを回し続けることが、理想の採用への近道なのです。
求人募集で成果を左右するのは、「どの媒体を使うか」ではありません。何のために採用するのか、どんな人と働きたいのかを整理することがすべての起点になります。伝わる形に整えることが、最短ルートなのです。
いきなり求人広告に課金する前に、一度立ち止まり、客観的な視点で「診察」を受けること。それが、採用コストの無駄とミスマッチを防ぐための最大の秘訣です。本質的な解決を目指すなら、まずは募集の始め方を見直してみましょう。