Column
2026.02.20
「給与は悪くないはずなのに、応募が来ない。」 「福利厚生も整えているのに、他社との差別化ができない。」 「面接までは来るが、最終的に他社に流れてしまう。」 採用市場が激化する中で、多くの企業が同じ壁に直面しています。そして多くの場合、その打開策としてまず検討されるのが“給与の見直し”です。 彼らが無意識に問いかけているのは、もっと本質的な質問です。 この問いに明確に答えられない企業は、どれだけ条件を整えても選ばれ続けることはできません。
しかし、本当に給与だけが原因なのでしょうか。求職者が最終的に企業を選ぶとき、比較しているのは「年収」だけではありません。
「なぜ、この会社なのか?」
本コラムでは、株式会社ヴォーチェが数多くの企業支援を通じて見えてきた「採用ブランディング」の本質と、自社の魅力を言語化し差別化する具体的な方法について解説します。

採用活動において、給与は重要な要素です。しかし、給与は「比較されやすい指標」でもあります。
同業他社が同水準の給与を提示すれば、優位性は一瞬で失われます。さらに、より大手企業や資本力のある企業が参入すれば、金額勝負では勝ち目がありません。
実際に、応募者が内定承諾を決める際の理由を分析すると、「給与が一番高かったから」という単純な理由は意外と多くありません。多くは次のような要素です。
つまり、求職者は“条件”と“感情”の両方で判断しています。ここで重要になるのが、採用ブランディングです。
採用ブランディングとは、自社の価値や強みを一貫したメッセージとして発信し、「この会社で働きたい」と思わせる仕組みづくりです。そしてその出発点が、「自社の魅力の言語化」です。

多くの企業は、自社の強みを理解している“つもり”になっています。
「社員同士の仲が良い」「働きやすい環境」「風通しが良い社風」
しかし、これらはどの企業も掲げている言葉です。採用市場で勝つためには、抽象的な表現では不十分です。求職者にとって重要なのは、「自分が働く姿を具体的に想像できるかどうか」です。
たとえば、「風通しが良い社風」という言葉をそのまま掲載しても、差別化にはなりません。しかし、
「月に一度、全社員参加の意見交換会を実施し、実際に若手社員の提案から新規事業が生まれている」
と具体的に伝えれば、それは他社と比較できる“強み”になります。
株式会社ヴォーチェでは、このプロセスを「魅力の構造化」と呼んでいます。曖昧な良さを、具体的な事実・制度・エピソードに落とし込み、応募につながる言葉へ整理していく作業です。

では、自社の魅力はどのように整理すればよいのでしょうか。まず行うべきは、「競合との比較」です。同業他社の採用ページを並べてみてください。似たような表現が並んでいないでしょうか。
ここで必要なのは、「自社だけが持つ特徴」を洗い出すことです。
これらは、組み合わせ次第で強力な差別化要素になります。重要なのは、「すごい強み」を探すことではありません。他社と“違う”要素を見つけることです。差別化とは、優れていることではなく、異なっていることなのです。
福利厚生や制度は、多くの企業が整えています。しかし、それを“武器”として活用できている企業は多くありません。
たとえば、「リモートワーク可」という制度。単に制度として記載するだけでは、差別化になりません。しかし、
「全社員の70%が週2日以上リモートワークを活用しており、育児中社員の復職率は95%を維持している」
と伝えれば、制度の“意味”が見えてきます。
社風についても同様です。「挑戦できる環境」ではなく、「失敗を責めない評価制度を導入し、挑戦回数そのものを評価している」と具体化することで、他社との差が明確になります。
株式会社ヴォーチェでは、福利厚生・社風・制度を単なる情報ではなく、「ストーリー」に変換します。その結果、求人票や採用サイトに一貫したメッセージが生まれます。
採用は人事部門だけの課題ではありません。企業の成長を左右する、経営戦略そのものです。
優秀な人材が集まる企業は、事業成長も加速します。逆に、採用に失敗すれば、事業計画は机上の空論になります。だからこそ、「なぜ自社なのか」を明確にする作業は、経営の根幹に関わる取り組みです。
自社の魅力を整理し、言語化し、発信する。そのプロセスを経ることで、社内の一体感も生まれます。採用ブランディングとは、外向きの広報活動ではなく、企業の価値を再定義する経営プロジェクトなのです。
現在の採用市場において、求職者が何を重視しているのか。統計データや外部のリソースを確認することで、自社の立ち位置をより客観的に把握することが可能です。
最新の有効求人倍率を確認し、市場の激化をデータで把握する。
他社がどのような情報を「魅力」として開示しているか、ベンチマークに活用する。

給与を上げることは、短期的な解決策にはなります。しかし、持続的な差別化にはつながりません。本当に必要なのは、「なぜ自社なのか」を明確に言語化することです。
自社の魅力を整理し、差別化し、発信する。その積み重ねが、応募数だけでなく、入社後の定着率や活躍度にも影響します。
株式会社ヴォーチェは、企業の中に眠る価値を掘り起こし、採用ブランディングとして形にします。
もし、自社の魅力がうまく伝わっていないと感じているなら、それは“足りない”のではなく、“整理されていない”だけかもしれません。他社に勝つために、まずは自社を深く知ることから始めてみませんか。